こんにちは。神戸注文住宅・IDA HOMESのHaseです。
今回のブログでは、今夏に訪れたオーストリア・ウィーンで見た建築のなかから1つご紹介したいと思います。
今回ご紹介するのは、オットーワーグナー設計の郵便貯金局。
オットーワーグナーはオーストリアの建築家で、グフタス・クリムトを中心として結成した、ウィーン分離派の中心人物のひとり。設計した建築物のほとんどはウィーンにあり、郵便貯金局の他にも街を歩いているとオットーワーグナーの建築を見ることが出来ます。
郵便貯金局は、鉄筋コンクリート造の建物。
竣工した1912年代のヨーロッパでは石積の建物が主流だったこともあり、鉄筋コンクリート造は当時としては新しい工法だったようです。
正面玄関は、大理石の白い壁とリベットなどのアルミニウムのシルバーがアクセントとして施されています。
建物内にはいると、ホールのように広々とした空間が広がっていました。
私の第一印象は「近未来的!」
近未来といっても、今の時代に思い描く近未来というよりも、昔の映画で描かれていた近未来のような、どこかレトロで懐かしい雰囲気をまとった近未来っぽさで。この感じ、伝わっていますかね?(笑)
基本的に、ホワイトとシルバーの二色の色合いで構成されていて、一見シンプルなデザインのように見えますが、電灯や通風孔へデザインが細かく施されていて、単調になりすぎないバランスを生み出すアクセントになっています。
ホールの両端と正面には、それぞれ番号が割りふられた受付が並んでいて、ここがかつて郵便局として利用されていた面影を感じます。
ホールの中央部分の天井はアーチのようになっており、そこだけ天井高が少し高くなっています。この日は曇りの天気でしたが、二重ガラス構造の天井から入ってくる自然光がほどよい明るさでした。
天井もガラスですが、床もガラス。
なんともいえない透け感が非日常的な雰囲気を醸しだしていますが、思い返せばここは郵便局・・・。以前紹介したウィーン経済大学の図書館もそうですが、公共的な建物に非日常的な瞬間を感じることに面白さを私は感じました。
かつてオットーワーグナーは「芸術は必要にのみ従う」と主張しています。
これは「芸術は鑑賞されるものだけでなく、使われてこそ意味がある。そして、その中にも美しさがなくてはならない」という意味が込められているそうです。
そんな実用性と美しさの融合を目指したワーグナーの言葉に、デザインと快適さの絶妙なバランスの取れる住宅を目指しているIDA HOMESとの接点を勝手ながら感じました。
100年前の建築から得るものは無数にあるなと改めて思った旅の記録でした。
担当:事務