海外へ行くと、教会や聖堂、モスクは街のメインシンボルのように存在し、観光地としてもガイドブックやホームページに大きく掲載されています。なかには世界遺産として登録されているものも多く存在します。
日本でも今年6月に、長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産が世界遺産に登録されたことは記憶に新しいのではないでしょうか。
国内で、神社やお寺を訪れる機会は年間通して何度もあるように感じますが、教会となるとその機会はなかなか少ないように思います。ですが、神社やお寺に通ずるような独特の惹きつけられる雰囲気を教会建築に感じます。
今回は、国内の教会建築のなかから、東京で私が訪れた『東京カテドラル聖マリア大聖堂(以下カテドラル)』をご紹介したいと思います。
こちらは、東京都文京区にある教会で、東京の高層ビルが立ち並ぶエリアから少し離れた、所謂住宅街のなかに聳え立っています。
訪れたきっかけは東京旅行での「丹下健三設計の教会へ行きたい!」という友人からの提案でした。友人に教えてもらうまで、私はその教会の存在を詳しく知りませんでしたが、教会と聞いてなんとなく頭のなかで想像していた建築と、実際とが全く違っていたことは確かです。
一般的に教会と聞いてイメージする、レリーフなどが随所に施された、西洋のクラッシックな雰囲気とは違い、前衛的でどこかSF映画に出てきそうな雰囲気もあるように私は感じました。
このカテドラルが建てられる際、前川國男、谷口吉郎そして丹下健三という、日本を代表する建築家によるコンペが行われました。その中から、丹下健三のHPシェルの現代的な構造技術を用いながら、教会の建物そのものが頂部において十字架になるという案が異彩を放ち採用されたのだそうです。
50年以上も前に建てられていますが、今見ても前衛的だと感じるというのもなんだか不思議です。
何十年経っても、デザインとして新しさを感じさせる。そう感じさせるからこそ、長い年月が経っても建築として残っていく理由のひとつなのかもしれません。
どの角度から見ても、違った表情を見せながらも失われないその存在感と、天までどこまでも伸びていきそうな力強いフォルムにただただ圧倒されます。
内観の荘厳な雰囲気。室内から見た構造が三角錐のようになっていたりと随所に興味深いところがありましたが、やはり私個人的には外観の魅力が圧倒的で。教会というものに対して私が持っていた固定概念やイメージを、覆されたような気持ちで、しばらくその場で見入っていたのを覚えています。
上空から見ると十字架を象っているようですが、天からしかその形を確認出来ないというのも、なんとも教会建築らしいなと思います。上空から見たらどんな風に見えるのか。写真では見れますが、実際に目で見てみたいものです。
東京では他にも、東京復活大聖堂(ニコライ堂)にも訪れたことがあります。こちらはカテドラルとはまた違った雰囲気の教会ですが目を引くものがあり素敵です。
また、次の機会にご紹介出来ればと思います。
担当:事務