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Vol.121 フォントデザインからみる映画「ラ・ラ・ランド」

2017.2.27

ショービジネスの世界での成功を夢見て奮闘する男女を描いた物語で、アカデミー賞に多数ノミネートされていることもあり、日本でも公開前から話題になっていた映画「LA LA LAND(ラ・ラ・ランド)」

 

私も週末にさっそく映画館へ足を運んできたのですが、今回は映画の内容とは少し違った視点でお話したいと思います。

 

この映画で私が気になったポイントのひとつが、ポスタータイトルの文字フォントです。

ここからは私個人の受けたイメージの話ですが、このフォントは、左右や上下のバランスが共にアシンメトリーであるが故に、線の短長が極端に表され、その按配が均一とアンバランスの絶妙な中間地点に存在しています。
デザインとして幾何学的ではあるものの、装飾的な遊び心の要素はそぎ落とされずに残っている。クラシックでヴィンテージ・・・欧米の昔の広告やポスターに使われていそうな趣があって・・・ボキャブラリーの少ない私では表現するにはこれくらいが限界ですが、おおよそそのようなイメージをこのフォントから感じます、

実際の映画自体には、iPhoneやプリウス、youtubeを思わせる動画配信の風景など、具体的に現代を象徴とする要素が随所に散りばめられ、時代設定は遡ったとしてもここ数年の物語だということは明らかで。
しかしながら、映画を見ていると、どこか50~60年代アメリカの雰囲気を思わせるようなセットや衣装の色づかい、音楽の要素などが感じられます。
近年見ていたミュージカル映画というより、雨に唄えばやウエストサイドストーリー、ファニーガールなど、まさに50~60年代アメリカ映画の世界観を思い起こさせ、どこか矛盾しているようですが、その現代とクラシカルな部分が癒合していることこそが、この映画の持つ魅力のひとつなのかも知れません。

 

そんな風に、映画を鑑賞した上でこのポスタータイトルを見ると、よりしっくりとフォントのもつデザインの説得力や魅力を感じられます。

 

そんな印象を持ちながらも、ポスターに使用されているフォントは実際のところ何というものなのか、どういった志向のものなのか気になって調べたところ、YasashiiRegulartというフォントで日本人のRyoichiTsunekawaさんがデザインされたことが分かり、よりこのフォントへの面白みが増しています。

 

クラシカルなアメリカの要素を文字から全面に感じていたにも関わらず、そのデザインを自分と同じ日本人が作っているという感覚は私にとって新鮮な驚きでした。

 

もちろん、デザイナーの方の人生背景や元々持ちあわせている感性が多様であるというのは大前提ですが、日本らしさや欧米らしさといった、人が潜在的に持っており、おおよそ必然的であるように思えるようなことでも、ネイティブであるかどうかを超えてデザインとして成り立たせ担えるということは、そういった「らしさ」の部分に不確さをおぼえ、「らしさ」とは人間が感覚的につくりだした非常に曖昧なものなのかもしれないと思わされます。

 

YasashiiRegulartのフォントには簡易な説明文が寄せられているのですが、その一節に「 based on Japanese designs for cosmetic packaging and posters used from the end of the 19th century to the early 20th.」直訳すると「19世紀末から20世紀初頭にかけて使用された化粧品包装用の日本デザインとポスターをベースにしています」と書かれており、より興味を惹かれました。

 

ここまで私がこのフォントから勝手に感じていたアメリカの要素は、デザインの発端そのものが大々的にアメリカを意識したものではなく、日本を意識してつくられていた訳ですから・・・目から鱗です、まさに。
過去に日本から産まれたデザインを元につくられたフォントが、現代とクラシックなアメリカを融合させたような映画のタイトルフォントを飾っている・・・そういった背景を思いながら改めてLA LA LANDのポスタータイトルを見ると、最初感じた印象とはまた違って見えてきます。

 

RyoichiTsunekawaさんのインタビューを読んでいると、元々は建築に携わっておられたということ。フォントについて学んだきかっけは、建築の仕事をする中でどんなフォントを使えばよりプレゼンテーションを魅力的にすることが出来るかを追求したところだということが分かり、より高いクオリティを求めた先に建築そのものとは別の、それらを説明する上で使う言葉や文字のデザインをご自身でデザインしようというところへ追求をシフトされていく過程にも面白さを感じます。

 

住まいをつくるなかで文字やフォントを選ぶ瞬間として、大きく思い浮かぶのは表札ですが、例えば、壁掛け時計の数字にしても様々なフォントが用いられているように、文字はデザインとしていろんな場面で暮らしに存在しています。
文字をひとつのデザインとしてとらえることで、普段目にしている文字のひとつひとつに愛着がわいていきます。そんな些細な気付きも、デザインを楽しむひとつの楽しみかたになるのではないでしょうか・・・

 

担当:事務

 

[参考・引用URL]
Yasashii

http://www.myfonts.com/newsletters/cc/201012.html

 

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