先日、島根県の足立美術館に行ってきました。
ご存知の方もいらっしゃるかと思いますが、米国の日本庭園専門誌ランキングで、
13年連続日本一に選ばれた庭園が有名な美術館です。
約5万坪もの庭園をいろんな角度から眺められるよう建物が配置されており、
場所ごとにテーマや見え方の工夫が施されている作りになっています。
この日は、あいにくの雨でしたが、それでも、雨の日の醍醐味といいますか、
きれいに整えられた石や草木と自然が作りだす雨模様のコントラストが、個人的にはとても美しく感じました。
展示されていた四季の移り変わりを見ていると、同じアングルにも関わらず表情が全く異なり、
また違う季節にも是非訪れてみたいなと思いました。
この美術館の魅力は、もちろん庭園の美しさにもあるのですが、
建物と庭のつながりを非常に大切にしている点ではないでしょうか。
部屋の中(ソファーに座っている状態)から庭がどう見えるかを体感するスペースがあったり、
庭が眺められる窓には額縁が施され、まるで絵画のように見える仕掛けがたくさんあります。
庭園の造りこみだけでなく、見る人にどう映るか、どういう姿勢でその景色を眺めるのか、
一番きれいに見える切り出し(窓枠)は、までを細部にわたって考えられており、
とても魅了されましたし、ただただ感心するばかりでした。
あまりに自然にそのような工夫がされているため、来場者の中には、
単なる廊下の窓としか認識できず、素通りしてしまう人もいるほどでした。
個人的に一番好きだったのは、廊下から茶室を望む景色。
客人を招く空間にこそ、このような「おもてなし」がぴったりだなと。
このような事は「住まい」にも言えるのではないでしょうか?
単に生活をおくる場の家があり、その周りを囲む庭があるのではなく、
建物に彩をそえる植栽があって初めて外観となり、
室内から見える緑の役割が相まって初めて心地の良い「住まい」になるのだと思います。
逆に、あまりに主張しすぎると、そればかりが気になって、心地よさとはかけ離れてしまうので、
あくまで自然に、ふとした時に見入ってしまう、そんなバランスが必要なのかもしれません。
世界でも認められている日本一の庭園は、今の住まいにも是非取り入れていきたい、
日本人の粋な計らいが詰まったすてきな場所でした。
担当:広報