家にどんなものを求めるのか。
求めるものは人それぞれ。
どこまで こだわってみるのか。
その按排も人それぞれ。
それらは、その人の価値観や大切だと思う感覚の違いで大いに変化し得るのでは・・・?
ぼんやりとそんなことを考えながら、ガウディのデザインした扉や取手を眺める・・
私が訪れたのは、弊社ギャラリーを海側へ南下すると程近い、
兵庫県立美術館で開催されている「ガウディ×井上雄彦―シンクロする創造の源泉―」
※上記展示は、2015/5/24(日)まで
この展示には、大きく2つのレールが敷かれています。
ひとつは建築家ガウディの残した様々な作品の設計図や模型などをもとに、彼のルーツを辿るレール。
もうひとつは、スラムダンクやバガボンドなどの作品で知られている漫画家の井上雄彦さんの視点で描かれた
ガウディという人物そのものに焦点を合わせたレール。
その建築と漫画という一見交わらない2つのレールの融合が心地いい。
そこが今回の展示の魅力のひとつとなっています。
その中でも興味深かったのが、ガウディの設計したカサ・バトリョという邸宅の展示。
家というカテゴリーではあるものの、ひとえに家と言っていいものなのかとも思う程に
不思議な世界観と創作力に溢れています。外観も独特な雰囲気ですが、
それ以上に内装の細かいディテールが素敵です。
私自身、学生の頃に一度訪れ、今でも印象深く記憶に残っています。
今回の展示でも、カサ・バトリョで用いられている扉を見ることが出来ます。
扉の表面に施されている緩やかな曲線や凹凸には、つい触れてみたくなるような何ともいえない魅力を感じます。
また、ガウディの作品には、いわゆる直線状のものは見受けられないように思います。
どこか曲線を描き、うねり、波打ち、砕かれ、くり抜かれ…
人工的に創られたものではあるけれど、極めて自然に寄り添い、時に、
人の手では生み出すことの出来ない自然の持つ絶対的な力すら彼の作品に感じることもあります。
空間をかたち創るハードの部分だけでなく、それらを補う建具や家具、
もっと細かく言えば取手の形状まで自身でデザインし、その空間に一番適したものを様々な角度から創っていく。
目で見て楽しい、触れて楽しい、腰掛けて楽しい。
こだわり追求すれば、こんなところにたどり着くのかと改めて圧倒され、
ガウディの表現力の唯一無二感と家というものへの可能性を感じた時間でした。
“毎日触れる扉の取手に、こだわりと愛着を持つ”今回の展示を通じて、私がふと思ったことです。
そのひとつの小さなこだわりは、割合としてはごくごく僅かなものかも知れませんが、
なにげない日常のふとした瞬間に、笑みをもたらしてくれるような気がします。
家づくりにおいて、何気ないところにひとつ自分ならではのこだわりをプラスしてみてはいかがでしょうか。
■ガウディ×井上雄彦―シンクロする創造の源泉―
http://www.gaudinoue.com/
■兵庫県立美術館
http://www.artm.pref.hyogo.jp/
記事担当:事務