2015.04.08 水曜日 14:37 曇りのち晴。
その日は前日の雨と風で桜の花びらが大量に散り、若葉達が顔を覗かせ始めていました。
先週くらいからやっと暖かくなってきたと思ったら急に冬並みの寒さ。
そんな日に、ヨドコウ迎賓館で「“心地良さ”は何がもたらしているのか」を少しだけ検証してみました。
ヨドコウ迎賓館をご存知の方もたくさんいらっしゃるかも知れませんが、簡単にご紹介を。
阪急芦屋川から徒歩10分ほどの小高い山にそびえ立つ別名「山邑家」。
建築界の3大巨匠であるフランク・ロイド・ライトが日本に残した数少ない建物の一つです。
今は一般公開されていますが、当初は個人の別邸として使用されていました。
この場所へは何度か足を運んだことがあるのですが、何度来ても心地が良いです。
では、この心地良さはどこから来ているのか。
この建物の中で一番心地が良いと思った場所1カ所の写真を使いながら
“心地良さ”を作りだす要素を検討したいと思います。
と、その前にこの日、この季節・時間・天気において「心地が良いな」と思った部分をご紹介していきます。
まずは建物へと入る前のアプローチ。
森の中で散歩しているような気分になり、
門を入る前の忙しなく動き回る日常を忘れさせてくれる心地の良い場所。
次に玄関前のバルコニー。
景色を一望でき、何時間でもいられる心地の良い場所。
ここで誰かとお茶をしながら喋れたらとてもいい時間を過ごせそうだなと勝手に想像が膨らみます。
ここでやっと室内。
この部屋も景色が一望できる場所に位置しています。
自分の肌をするりと撫でるような風、天井近くに計画された優しい光のリズムを生み出す明かり取り。
ここも何時間でもいられる心地の良い場所。
そして最後に、今回一番心地が良いなと思った廊下。
あまりにも心地のいい場所だったので何度も何度も廊下を往復していました。
では、この“心地良さ”はどこから来ているのか。
一番気に入った廊下の写真を使って、部分的な要素を1つずつ除きながら検討してみます。
まずは分かりやすい【色】。
色が与える影響は赤が熱そう、青が寒そうというように大きく関与してきます。
人によって見方が違いますが、この“場所”においてこの色合いは心地良さを感じられません。
このことから【色】も一つの心地良さに繋がっていそうです。
次は【光と影の関係】。
晴れの日は気分が良く、雨の日は気分が沈んだりするように光と影が与える影響も大きく関与してきます。
この画像も人によって見方が違いますが、光と影の関係がいまいち掴めず心地良さは感じられません。
このことから【光と影の関係】も心地良さに繋がっていそうです。
“心地良さ”を作る要素はまだまだありますが、長文になってしまうので、今日はこの辺で。
住宅を設計していく上で心地が良い家を作ることは設計者として必要な資質だと思っています。
伊田工務店では、昨年から研修として各地の建築物を見て回っているのですが、
良い建築には必ず心地が良い場所があります。
その心地良さを作りだしている要素を自分たちの引き出しにしまい、お客様へと還元していくようにしています。
“心地良さ”まだまだ追求していく価値がありそうです…
記事担当:設計課