2月3日の「節分」が済むと立春となり、暦の上では春を迎えます。
我が家は立春の日に、昨年購入した長女の雛人形を床の間に飾りました。
私が子どもの頃は、豪華であればあるほど良いとされており、段飾りが主流であったそうですが、
昨年訪れた古式人形専門店には親王飾りといってお内裏さまとお雛さまだけのものばかりでした。
専門店の人いわく、それは昨今、住宅事情や生活スタイルにより、飾る場所、片付ける場所に困ることや
“よりシンプルな暮らし”を好む若い親世代がコンパクトなものを求めているからだそうです。
飾る場所に決まりはありませんが、私はやっぱり雛人形は和室の床の間に一番合う気がします。
最近では和室もより簡略化され、リビングの延長として設けられた畳コーナーや
床の間のない形式上の和室が増え、今と昔の人の価値観の違いが住まいにも表れているように感じます。
収納力や実用性を優先するあまり、まさに空間を楽しむだけの床の間は不必要となり、
建設会社もまた、時代の流れをふまえて床の間のない和室をつくり続けたことで、
私たちの世代では主流だった段飾りの雛人形も今の住まいに適応する形へと変わってしまったのかもしれません。
雛人形に限らず、床の間にモノを飾ったり花を活けたりと、たった一畳程度がつくる「神聖な空間」を、
日本人としてもう少し真剣に考えていくべきだと個人的には思うのです。
今回は、雛人形がきっかけとなりましたが、家づくりにおいて「床の間」のような
昔から大切にされてきた習わしを、単にスペースだけの理由でなくすのではなく、
それに変わるスペースを考えることも大切なことだと感じました。
記事担当:工務課