器と言ってもさまざまな目的で作られています。
1点モノの芸術品としての器、日常づかいにできる実用性の高い器など。自身の結婚を機に、
料理をする機会が増え、日常にそっと馴染み、使いやすく、
料理を引き立たせてくれる器はないだろうかと思ったのがきっかけとなり、
器や暮らしの道具への興味を持ち始めました。
同じ頃、旅先で民藝の器に出会い、実際に使ってみて、
よりいっそう器という暮らしの道具への興味が深まりました。
今回訪問した窯元は、島根県にある出西窯・湯町窯・森山窯。
どれも民藝器をつくる窯元です。
民藝運動の創設者である柳宗悦・濱田庄司・河合寛次郎らを傾倒し
普段づかいの実用性の高い器をつくり続けています。
民藝器は、あくまで器に盛る料理が主役であり、料理が美しく引きたつこと、
手になじみ使いやすい形であることが、良い器の条件だそうです。
写真:出西窯にて
それぞれの窯元によって釉薬の色や形は違いますが、共通するのは、
余計なものが削ぎ落とされて手になじみ、使いやすいこと。
手づくりのぬくもりを残しつつも、“民藝”のイメージの手作り風な匂いはしない。
シンプルなのにかっこいい。
写真:湯町窯にて
なんでもない料理でも格別に美味しそうに見え、食欲がわきます。
電子レンジ・食洗機対応でもあるし、とても今の暮らしに寄り添った器だと思います。
家も同じようなことが言えると思います。
見せたい作品欲や流行にとらわれすぎず、余計な装飾のない、住む人が長く快適に暮らすことをイメージしてつくりあげること。そうすることで、何十年経っても愛着の湧く住まいになることでしょう。
日常づかいの器といっても機械で大量生産しているものではないため
安価ですがそれなりの価格もつきます。
しかし、低価格でなんでも揃う世の中、ちょっとお金を出して良質なものを持つことも
心豊かに暮らすために大切なことではないでしょうか。
*最後に*
使う前のひと手間で、長く愛せる器に
使う前に、目止めとして米のとぎ汁に浸すと、食品のしみがつきにくくなります。面倒ではありますが、ちょっとしたひと手間で道具に愛着を持ち、暮らしを楽しむ一つになりますよ。
記事担当:事務